コラム

「わかる」を導く指導

幼児期のお子さん方の音楽教育をする過程で、力を伸ばしてあげるために必要なのが、
「理解させること」だと考えます。

こちら側からは発信し、伝えたつもりでも、翌週レッスンに来てくれた時に
「あれ?」とお感じになることもみなさんあるのではないでしょうか?


「理解させる」と言葉にすると当然のことのようですが、まだこの世に生を受けて数年の子たちに、
「わかった!」と理解をさせるためには、大人の想像では計り知れないことも多く、
いくつかおさえるべきポイントがあります。


まず、子供たちの語彙を十分に理解すること。

平仮名やカタカナの理解度、また小学生の子たちは、どんな漢字を習っているかということ。

お子さんの理解力をまず知った上で、話を始めることは原点です。

ある程度の学年になった子だとしても、そもそもが違う環境、違う価値観の中で育ってきていますので、
たった一言で思っていることすべてが通じるというのは難しいと思います。
それは、相手が大人だとしてもそうですから、相手が語彙力の少ない子どもたちとあれば、
なおのこと、言い方を変えて、いろんな方向から説明する必要があると思います。


NLP心理学では、視覚優位、聴覚優位、身体優位という考え方がありますが、
人はそれぞれに得意とする感覚が違うため、理解してもらうためには、
どういう観点から説明をするべきなのか、指導者側が配慮することで、
お子さんたちの理解度は、格段に変わってくるように感じます。

特に子どもたちは、「自分が何がわからないのか、なぜ注意されてるのか」自体がわかっていない
ということが大半です。
なぜ注意されているかをわかるのには、自分の状態と、先生との違いが状況把握できなくては難しく、
まだ習い始めの時期のお子さんにとっては、何を言われているのかもちんぷんかんぷん。。。
というのが、多くの事例ではないでしょうか。

なぜわかっていないのに質問もしないのか。。。」「なぜわかっていないのに返事をするのか」
と思ったことが私自身ありました。
でも、子どもたちの様子を観察していると、上述しましたような状態であることに気が付きました。

お子さんの返事と言うものは「条件反射」のようなものであり、
本当に納得したかどうかは、子どもたちの目を見て判断するのが一番だと思います。
目は口ほどにものを言う。。。と申しますが、
これはお子さんたちにも当てはまります。
「わかった」時は、ちゃんとわかった目をしています。
その目になるまでは、何度でも言い方を変えることではないかと思います。


時間がかかるようですが、せっかく話したことを理解してもらえず、一週間後も同じ状態で
レッスンに来る。。。ということを考えたら、それは決して労力には値しません。


小学生になったお子さんには、「できる」のと「わかる」のは違う。。。とい説明をするのも
大切な過程ではないかと感じております。
「できる」というのはたまたま。。。のケースも多く、「わかる」というのは、今だけでなく、
明日練習した時にもできるだけのポイントが理解できたということです。
そこまで出来てはじめて、今後もずっと出来る「力」になっていきます。

レッスンの中で、なかなか理解してもらえずにいたポイントが出来た瞬間が来たら、
そこで子どもたちの言葉でコツを話させることをおすすめします。

自分の言葉で説明できるということは、きちんと理解が出来た証ですし、
「あなたの考え方は正しい」ということを肯定してあげる過程を経ることで、
お子さんにとっては、自信を持ってできる事項にもなるからです。

お子さんの発想は、大人の固定的になってしまった感覚では計り知れないくらい、
素晴らしいものをもっていますよね。
その宝物のような発想の方向性を整理整頓していってあげるのも、指導者の醍醐味だと思います。

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