コラム

教本から学ぶこと 伝えること

ピアノの指導を始められる方によくご質問いただくのが「どのテキストを使ったらよいですか?」ということです。

このご質問を頂くときに、反対にお伺いするのが、「子どもたちにどんなことを教えたいですか?」ということです。



特に幼児期は、何を優先して教えていくかがとても大切で、何かのテキストを使ったから上達させることができるのではなく、
そのテキストを使って「何を教えていくか」が重要なポイントです。


それぞれのテキストには、作られた目的がもちろんあります。
ですが、作られた方とご指導される方のピアノを習われてきた経緯はもちろんながら異なりますし、
ご自分が伝えたいことを一番教えやすいテキストを使われることが一番でないかとは思います。


弊会の本部校では「バーナム」という教本を使っていますが、それは自分で楽譜を見たときに、音符の長さ(音価)やリズムに対して、
指先にかける重さを変えていく必要があるという価値観を育てたいこと、拍子やリズムごとの脱力の仕方をわかることを
念頭において指導しておりまして、「指が動くように」「テクニックがつくように」という目的とは少し違うかもしれません。


同じようにハノンもそれぞれにいろいろな使い方の可能性が広がるテキストだと思います。


ですから、使い方は無限であり、「何のテキストを習ったか」よりも、「そのテキストを使って、何を習ったか」が、
お子さんの上達の過程においては、とても大切なポイントです。


ご指導なさる先生方は、テキストをお選びになる際、「何を使うか」だけでなく、「何を伝えるか」をお考えになって、
テキスト選びをなさると、ご自身の指導が確立できると思います。

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