コラム

課題曲のコンクールと自由曲のコンクール

夏から秋にかけては、日本各地で音楽のコンクールが盛んに開催されています。
コンクールの中には、人との比較ではなく、ご本人の創造性を評価してあげようという主旨の自由曲のコンクールと、
既定の曲の中で、曲の豊かさを見つけだして弾くことを求められる課題曲のコンクールがございますが、
そのどちらもお子さんにとって、よい勉強になります。



まず、課題曲のコンクールは、決められた曲の中で、曲を魅力的に演奏するために、
ご自分で「掘り下げる努力」を必要とされます。

音楽における時代や様式の理解を深め、一つ一つの要素に心を砕き、一音一音に対してこだわりを持って音作りをし、
誰よりもその楽曲に対して愛情をもって音楽作りをしているかどうかということが、評価のポイントとなります。


一方で自由曲のコンクールはと申しますと、お子さんご本人の持つ音楽性をいかんなく発揮できる楽曲を選曲することが、
まず第一のポイントとなってきます。
学年やコンクールの規模にもよりますが、特に小学生のうちのコンクールでは、
選曲のポイントとして「楽曲の中で必要とされる音色が多彩であること」、
また空間を彩っていくための「響きの出し入れがコントラストの大きいもの」を選曲なさると良いかと思います。


そして、課題曲、自由曲どちらのコンクールでも、一番大きな評価のポイントとなるのは、
「音楽をご自分のものにしているか」です。


自分が歌いたいと思うところまで指がついてきているか、そして上手に弾けていたとしても、
演奏のうしろに指導者の姿が見え隠れしていないかが、特に自由曲のコンクールでは大切だと感じます。

音楽は本来「自己表現」出来ることが、その一番の魅力です。
といっても、時代や様式を理解し、決められた規則はおさえなくてはいけませんが、
そこからはお子さんご本人の考えが音楽に命を与えているかどうかが、会場で聴いている方へ、
感動を与えられるかどうかの分かれ目になっていると思います。


通過率がとても低いコンクールにおいては、「関心」されるくらいでは通過は難しいです。
聴いている方へ「感動」を与えられるくらい、「想い」を音楽になさるまで目指されてください。




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