コラム

教本で何を学ぶか

音楽のお稽古を始められた当初は、幼児用のテキストを学んでいきますが、
それらのテキストは、まず「音楽に興味を持ってもらうこと」や
音楽の基礎(音の高さやリズムの読み方)を身に付けるために作られています。


幼児用のテキストの中で身に付けて欲しいのが自主性です。
まず、音楽のお稽古に興味を持ってると、その先には、
自分の力で楽譜を読める力が育ってきます。

ですから、幼児期のテキストには、お子さんが興味を持ってくれるしかけがたくさん詰まっています。




そして、幼児用のテキストが修了に近づいていくと、様々な教本に入っていきます。


この時期には、大切にしていただきたい考え方があります。
曲を学ぶのではなく、曲や教本を通じて何を学ぶかということです。


バロック時代の音楽のつくりについて学ぶもの。
テクニックや奏法について学ぶもの。
運指の考え方について学んでいけるもの。
古典派の楽曲の仕組みを学ぶもの。


つまり、それぞれの教本の中で、曲の弾き方の答えではなく、
「考え方を学んでいく」わけです。


考え方を覚えよう!という気持ちが先にあって学ぶのと、
その時その時に先生のご指示に従えばよいと思っているのでは、
数年先のご本人たちの力はまったく別のものになってしまいます。


では、自ら学ぶ子にするためには、何が必要でしょう?


それは、やはり小さな頃からの指導の仕方です。

幼児の1か月は大人の1年
幼児の1年は大人の10年

に値するとも言われます。
小さなうちから繰り返し繰り返し考え方を学ぶことで、それが力の定着へ繋がっていきます。


これは、音楽のお稽古だけでなく、お勉強でもスポーツでも同じですね。


幼児期に、熱意と能力を持った指導者に巡り会えるかどうかが、
お子さんの可能性を広げるための最も大きなカギとなってきます。


すべてのお子さんが、無限の可能性を持っています。
その可能性をどう花開かせてあげられるかは、幼児期~児童期で多くが決まります。
これは、私たち指導者もいつも心に刻んでおきたいことです。




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