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10歳で差がつく自己決定力

3月に入り、あたたかい日差しが感じられるようになってきました。
少しずつ新年度の準備も始められているのではないでしょうか?
今日は、世界の教育が大切にしている「自己決定力」についてお話していきたいと思います。


― 世界の教育が守る"子どもの選択権"とは ―

「今日の服、どっちがいい?」

朝の忙しい時間、つい親が決めてしまうことはありませんか?

時間がない、失敗させたくない、まだ早い――そんな理由で、子どもの選択の機会を奪っている場面は、実は日常にたくさん潜んでいます。

 

10歳前後は、社会的価値観が動き始める時期です。
心理学者モリス・マッセイは、人間の価値観形成には段階があり、特に7歳から13歳頃が「価値観形成期」にあたると指摘しました。
この時期に何を経験し、どう考え、どう選んできたかが、その人の意思決定のベースになるというのです。

つまり、この時期に「自分で選ぶ」経験を十分に積めたかどうかが、その後の人生で「自分で決められる人」になれるかを大きく左右します。

 

世界の教育が大切にする「選択の設計」
国際バカロレア(IB)、イエナプラン、モンテッソーリ教育――世界には、子どもの選択権を教育の中心に据えたアプローチがいくつもあります。

たとえばモンテッソーリ教育では、子どもが「今日は何をするか」を自分で選びます。
オランダのイエナプランでは、学びのテーマや進め方に子ども自身が関わります。これらの教育に共通しているのは、大人が一方的に決めるのではなく、子どもに選ばせる構造を意図的に作っているということです。

そこには「失敗する自由」も含まれています。選んだ結果がうまくいかなかったとき、それを責めるのではなく、「次はどうする?」と問いかける。
その繰り返しの中で、子どもは自分なりの判断軸を育てていきます。
 



一方、日本の教育構造を見ると、驚くほど「大人が決めること」で埋め尽くされています。

時間割、課題、テストの内容、進路選択の時期、コンクールの曲目――子どもが選べる余地は、ごくわずかです。
そして「正解」を求められる場面が圧倒的に多く、失敗は減点対象になります。

ピアノ教室でも同じ構造が見られます。

「こういう風に弾いて・・・」と、すべてを先生が決め、子どもはそれに従うだけを続けてしまうと、将来的に本当に怖いことだと思います。

こうした環境で育った子どもたちが、大学生や社会人になって突然「自分で決めなさい」と言われても、戸惑うのは当然です。
なぜなら、それまで「自分で選ぶ練習」をしてこなかったのですから。

 

海外の教育現場を見ていると、失敗に対する捉え方が根本的に違うことに気づきます。

選んだ結果が思い通りにいかなくても、「それも学び」として受け止められます。
進路を変えることも、やり直すことも、ネガティブに見られません。むしろ「自分で選んで、自分で軌道修正できる力」こそが評価されます。

 

一方、日本では失敗が「傷」として残りやすい。
一度選んだ道から外れることへの抵抗感が強く、「失敗しないこと」が優先されます。
だから親も先生も、子どもに失敗させないように先回りして決めてしまう。
その結果、選ぶ経験そのものが奪われていくのです。

 

では、どうすればいいのか。大きく教育システムを変えることは難しくても、目の前の子どもに「選ばせる機会」を作ることはできます。

最初はうまく選べないかもしれません。でも、それでいいのです。
選んで、やってみて、うまくいかなくて、また選ぶ。その小さな繰り返しが、10歳前後の子どもにとっては、かけがえのない財産になります。

 

自己決定力は、ある日突然身につくものではありません。日常の小さな選択の積み重ねの中で、少しずつ育っていくものです。

もし今、目の前に10歳前後の子どもがいるなら、ぜひ問いかけてみてください。

「あなたはどうしたい?」と。

その一言が、子どもの未来を変える第一歩になるかもしれません。

 

 

10歳前後からの内省(reflection)習慣を育むジャーナリングノート
ROOTS JOURNAL

https://note.com/roots_journal

 

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