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「やらない」選択を選ぶ強さ

紫陽花が美しい季節になりました。皆様いかがお過ごしでしょうか?
ピアノを学ぶ子たちは、夏~秋はコンクールに挑戦する方も多いことでしょう。


私が運営する教室でも、夏~秋にかけてのコンクールに挑戦する子たちの練習も盛んになってきました。
「〇賞が獲りたい!」と目標を口にすることは、指導を始めた頃と変わりませんが、
顕著に変わっていることもあります。


とにかく現代はみなさん忙しそうです。
大人の方々もですが、子どもたちも、忙しそうだなぁと、その弊害を思うことが多くなりました。


私自身、子どもの頃は習い事が毎日のようにあり、ある意味では気忙しい生活を送っていましたが、
自分の中で「やりたいこと」もありましたから、いかにして時間を捻出するかも考えるようになりましたし、
時間の使い方や行動の優先順位の付けることも自ずと身に付いていきましたので、「やること」を作ることで、
身に付くことが多いことも実感しています。



しかしながら、そこにはゆとりが必要だとも思っています。
やるべきこと(お約束したこと)をきちんとこなすこと。
現代は、そのバランスが大きく崩れているように感じるようになりました。


親御様が、お子さんの可能性を伸ばすためにさまざまな習い事に取り組まれるお気持ちもよくわかります。
でも、実際のところ、秀でていく子たちは、極めていくために使える「時間」を十分に確保し、
何をどのような順で習得していったらよいか?の行動管理がきちんとできています。


あれもこれもやらなくてはいけないことがたくさんある毎日に感じてしまっている状態では、
どうやったらうまくできるか?を考える時間もないことと思いますし、楽しさそのものを感じることも難しいことでしょう。
近年は、その飽和状態の子を見ることがとても多くなりました。


ピアノの場合には、すべての音を美しくキレイな状態で管理することが大切ですが、
きっと「音を楽しむゆとりの時間がないのだろうな」と思うほどに、ここまで!と約束した宿題の部分までを
止まりながら何とかたどり着いている状態で、「もっとゆっくりで良いから、間違えないでキレイな音を出せるテンポで弾いてみよう」と
話しても、先ほどと同じテンポで弾き始める子が増えています。


先生は何を求めて今話してくれているのだろう?という考えは、恐らく持てていないことが表情を見ていてもわかりますし、
「こんな風に弾きたい」「こうやったら上手くいくかな」と考えを持つ時間が持てていないことも伝わってきます。


きっと周りから与えられ過ぎてしまっていて、必要性に迫られていないことも感じます。
〇〇ができるようになりたいから、
〇〇をする必要があって・・・と自ら選択できる子に育っていって欲しい。


世界の国々からすると、日本人は私たちの時代の頃から、発言力が弱いと言われていましたが、
果たして現在や未来はどのように見られるのでしょう。



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